安易に「外貨建て生命保険」に加入してはいけない!!

FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の中村宏です。

生命保険という金融商品では、一般的に、顧客が支払った保険料から、まず保険会社の運営費(事務所の賃貸料や人件費などを含む)が差し引かれ、残った保険料を使って保険会社が資産運用をします。そして、運用財産から保険金等を顧客に支払います。

私たちがふつう生命保険といっている商品の主な運用先は、国債などの債券です。

日本の場合、かねてより国債の金利が低く(今年に入ってやや高くなってきましたが、それでも代表的な10年満期の国債の利回りは0.5%程度)、生命保険を使って財産を大きく増やすことはできませんでした。したがって、もう長らく、資産運用目的の生命保険は人気がありませんでした。今もそうです。

一方、アメリカは一昨年来のインフレ対策のために中央銀行が利上げを繰り返し、その影響で10年満期の国債の利回りも上昇して、最近では3.5%程度になっています。

日本とアメリカの金利差からすれば、米ドル建ての生命保険に加入したほうが、日本円の生命保険よりも、よぽど高利回りなのです。

以上のような背景から、近年、外貨建て(特に米ドル建て)の生命保険の人気が高まっています。

さて、ここで、1月11日の日経新聞の記事から引用してみたいと思います。

「保険営業の現場で顧客本位は道半ばだ。日本では金融商品仲介業者や保険募集人を兼ねるFPも多く、販売に応じて保険会社から手数料を得ている。一般的に投信の販売で得る手数料より保険販売で得る手数料の方が大きい。手数料目当てで保険を売りつける事例が問題視されている」

最も販売しているのは銀行でしょう。
預金に据え置かれると銀行の収益にはなりません。たくさん預金している人に、他の金融商品を購入してもらうほうが銀行の利益になります。
そして、投資信託を販売するよりも、保険を販売したほうが収益は多くなります。

外貨建ての生命保険に加入する場合、保険料を支払うときと、保険金を受け取るときに、為替相場の影響を強く受けます。
保険料を払うときに円安で、保険金を受け取るときに円高だと、為替差による損失が生じ、高金利による収益を相殺してしまうかもしれません。

また、生命保険は、一定の期間内に解約すると、元本割れが生じる可能性が高いです。

以上の理由やコストが高いことから、生命保険による資産運用は、外貨建てに限らず、おすすめしません。

生命保険の本来の機能は、病気やケガなどによる死亡など、万が一の事態に備えることです。

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