手術や入院をしても、医療費負担ではさほど心配ない!(1)

FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の中村宏です。

「インフレになれば、お金の価値が低くなるので、医療保険は入院1日1万円くらい受け取れるようなものに入った方がいい」

物価が上昇してきたので、上のような営業トークを耳にする機会が増えるかもしれません。

しかし、入院1日5千円程度でよいと、個人的には思っています。

というのも、これまで入院給付金は4回、手術給付金は8回、受け取る機会がありましたが、いずれもその時の自己負担額がカバーできた経験があるからです。

もちろん、インフレになったら、医療費も上がるでしょう。しかし、毎月支払う保険料の負担も、インフレになって収入が増えれば相対的に軽くなるはずです。

いずれにしても、民間の医療保険だけで医療費の自己負担をカバーしようとは考えないほうがいいです。私はたまたまカバーできましたが、カバーできないケースがあることも想定しておいたほうがいいでしょう。

必要なのは、貯蓄です。ある程度の貯蓄は、緊急予備金として、医療保険でカバーできない部分の備えに、確保しておいたほうがいいです。

ただし、わが国の公的医療制度はとても充実しており、医療費の自己負担が大きくなり過ぎないような仕組みが設けられていますので、多額の貯蓄で備える必要はありません。

「高額療養費制度」。

1ヶ月あたりの医療費の自己負担額に上限を設けて、超過した金額を払い戻すルールです。

年齢は69歳以下と70歳以上で上限額が異なり、70歳以上のほうが上限額が低く設定され、負担が少なります。

また、年収によっても上限額が異なり、年収が低い人ほど上限額が低くなり、負担が少なくなります。

ちなみに、40代で600万円の会社員の方が入院して1ヶ月の100万円の医療費がかかったとしましょう。
医療費の自己負担は3割なので、30万円を病院の窓口で支払う必要があります。

なお、この方の高額療養費制度の上限額は、
(100万円-26.7万円)×1%+8.01万円=87,430円となります。
※年齢・年収ごとに計算式があります。

したがって、窓口で支払った30万円から87,430円を差し引いた、212,570円が、手続きをすれば、あとで戻ってきます。つまり自己負担額は、実質9万円弱なのです。
※マイナンバーカードを健康保険証として使う場合は、窓口で30万円を支払う必要はなく、87,430円の支払いで済みます。特段、手続きも必要ありません。

対象となる医療費は、公的医療保険の対象になるものだけですので、入院時の食事や患者が希望して使用した差額ベッド代などは対象外です。

民間の医療保険でカバーするのは、上記の例でいうと、公的保険適用対象の医療費の自己負担の上限額である87,430円と、食事や差額ベッド代などです。なお、差額ベッド代は高いですが、希望しなければ、負担の必要はありません。

(続く)

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