確定拠出年金の加入者、確定給付年金を逆転。

FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の中村宏です。

会社の退職金制度は、大きく2種類に分けられます。

社員が退職したときに、その時の会社の預貯金等から支給される「退職一時金」。最も馴染みのある制度で、導入している企業が最も多い。

退職一時金の大きな問題点は、社員が退職したときに会社は急いで退職金を払うための資金繰りをする必要があります。一気に多くの人が退職すると資金繰りに苦労します。

もうひとつは、企業年金。この制度は、社員が入社したときから、会社が退職金の原資を用意して積み立てる仕組み。基本的に会社の会計とは切り離された形になっているため、会社は、仕入れなど、事業運営の経費を払うためなどの資金繰りに使うことはできません。

「年金」という言葉がついているので、支給形態が分割払いの年金だと思いがちですが、そうではありません。受け取り方は社員が自分で決めることができます。実際は、一括払いで一時金として受け取る方が多いようです。
なお、年金で受け取る場合は、受け取り期間も会社によって選択肢が設けられていたりします。

企業年金は、一定以上の規模の会社で導入されています。退職一時金と企業年金の両方を取り入れているケースが多いです。

そして、企業年金にも、大きく2種類があります。
確定給付年金と確定拠出年金。

大企業になると、退職一時金、確定給付年金、確定拠出年金の3つともある会社が多くなりますね。

確定給付年金は、社員の退職金のための積立金を会社が責任をもって運用する仕組みです。社員にとっては、退職時の退職金額が会社から約束されています。いわば「会社任せの退職金」。昔からある制度です。

一方、確定拠出年金は、社員の退職金の積立金を、社員自身が運用する仕組み。いわば、会社からお金を受け取って、自分の退職金を自分で作っていく制度と考えたらよいでしょう。いわば「自己責任の退職金」。

確定拠出年金は、2001年に制度としてスタートしましたから、比較的新しい仕組みです。スタートから20年が経過し、加入者数が確定給付年金を逆転したもようです。

確定拠出年金の加入者は、近年、年間70万人程度ずつ増えており、今や1,000万人に迫る勢い。一方の確定給付年金の加入者数は、2018年度末で940万人です。

長年の超低金利で、会社は、社員に対して、退職金の運用利回りを約束できなくなりました。そのため、確定給付年金を廃止したり、縮小したりして、確定拠出年金に切り替える会社が増えています。

確定拠出年金による資産運用は、社員が自分で運用商品を選択することによって行います。

2020年3月末の運用商品の割合は、預貯金36.1%、保険15.6%、投資信託47.3%となっています。

実に、半分以上は、超低金利でさっぱりお金が増えない預貯金や保険で運用されているのです。

もっと主体的に、自らリスクをとって株や債券が組み入れられている投資信託での運用をしたいものです。

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