退職金の受け取り方法は?・・一時金 or 年金

FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(東京・調布)の中村宏です。

定年を迎える方には、退職金が支給されるのが一般的です。

退職前になると、会社で「退職説明会」が開催されます。
退職金の受け取り方の選択肢について、受け取り方ごとの税金の仕組みについて、退職後の社会保険や公的医療保険に関する選択肢について・・・・などの説明が行われます。

現在は、60歳定年制の会社が多く、その会社にも65歳までは再雇用制度がありますので、再雇用制度を選ぶ場合と選ばない場合の社会保険料や公的医療保険制度の違いについても説明があるでしょう。
(再雇用を選ぶ場合、サラリーマンを続けることになるので、会社の厚生年金、健康保険に継続して加入することになります)

退職金に関する相談で多いのは、一時金で受け取るのがいいか?あるいは、年金で受け取るのがいいか?・・・ということ。

ところで、退職金制度にもいろいろあります。
一時金、確定給付年金(DB)、確定拠出年金(DC)と大きく3つあり、会社によって、1種類だけのところ、2種類のところ、3種類ともあるところがあります。

一時金は、一括受け取りしかできませんが、DBとDCは、一時金として一括受け取りもできれば、分割払いの年金受け取りもできるようになっています。そして、年金受け取りの場合は、受け取り期間を、5年、10年、20年、終身などのなかから会社によって選べるようになっています。

受け取り方で多いのは、すべて一括受け取りの一時金のようですね。
手元にちゃんとした統計はないのですが、噂によるとそのようです。

住宅ローンの繰上返済をするなど、退職金の使いみちが決まっている場合には、一時金を選択するのもよいでしょう。
しかし、早く受け取って、大金を持っていることをただ確かめたいという方も多そうです。

年金受け取りを選択すると、受け取っている最中に、会社が万が一倒産したときに受け取れなくなるのではないか?という不安もあるようですね。

なお、DBやDCは、将来会社が倒産しても、受け取ることができます。
会社の財産とは別に管理されていますから・・・その点は安心していただいて結構です。

年金を選ぶ場合、受け取っている間に会社の責任で一定の利率で運用してくれますから(預金金利よりも高い利回り)、受け取り総額は、一時金の額よりも多くなります。

このように言うと、一時金よりも年金のほうがかなりよいのではないか、と思われるかもしれません。

しかし、そうでもありません。

一時金を選ぶと、大きな税制優遇を受けることができます。
勤続20年までは、1年あたり40万円。21年目以降は1年あたり70万円の退職所得控除を受けることができるのです。
たとえば、勤続40年の場合、20年×40万円+20年×70万円=2,200万円までの退職金には税金がかりません。また、退職所得控除額を超える金額の退職金であっても、超えた金額の半分しか所得とみなさないルールがあり、少ない税金で済むのです。
退職金に税金がかかるのは、受け取るときだけです。

年金の場合は、1年あたりの金額が多くなると年収が多くなって、税金がかかります。それだけではありません。リタイアしたあとに加入することになる国民健康保険や後期高齢者医療制度、介護保険制度の保険料が多くなります。65歳からは公的年金も収入に算入する必要がありますので、さらに年収が増えて、負担が大きくなります。

それだけではありません。病気やケガでかかる医療費や、介護サービスを受ける時の自己負担割合が大きくなる可能性もあるのです。

一時金で受け取っても税金がかからないのであれば、全額一時金受け取り。
税金がかからない範囲で一時金で受け取って、残りは年金受け取り。

これが、受け取り方の目安になるのでは?

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