遺産分割をするときの「寄与分」・「特別受益」とは?

FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の中村宏です。

遺産分割の話し合いでは、相続人同士で合意形成ができれば、どんなふうに分けても構いません。
しかし、揉めるようなら、法律で定められた分割割合(法定相続分)をもとに決まります。

たとえば、親が亡くなって、相続人が子供3人の場合で考えてみましょう。親の死亡時の財産が3,000万円だった場合、法定相続分は1人3分の1ずつ、つまり、3,000万円を兄弟3人で均等に1,000万円ずつ分割することになります。

ただ、親が亡くなる前の10年間、長女が親の介護のためにパートをやめ、それこそつきっきりで面倒をみたとしましょう。
このように「無償で被相続人のために労務を提供した」場合、長女には「寄与分」が認められます。

寄与分とは、亡くなった人の財産の維持や増加に無償で貢献した人に与えられる取得財産の増加分で、相続人だけに認められる権利です。

つまり、何もなければ、親の3,000万円の財産を、兄弟3人で1,000万円ずつ相続するところ、兄弟同士の遺産分割の話し合いの中で、長女の寄与分を認めて、長女には、1,600万円、他の2人は700万円ずつ、というふうにするのです。

同じ例で、今度は、長男が、親から生前に1,000万円の贈与を受けていたとしましょう。他の2人は贈与を受けていません。寄与分もありません。
この場合の長男への生前の贈与1,000万円を「特別受益」といいます。

特別受益がある場合には、それを相続財産に加えて財産の分け方を決める方法があります。

長男の特別受益1,000万円と、死亡したときの親の財産3,000万円の合計4,000万円を、兄弟3人で分割すると、1人あたり、約1,330万円になります。

したがって、長男以外の2人が相続する財産は、それぞれ1,330万円。
長男は、生前にもらった1,000万円を差し引いた330万円を相続することにするのです。

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◆この記事は、メルマガ「生活マネー ミニ講座」(「まぐまぐ」:無料)にて配信したものです。

 

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