2024年から、相続時精算課税制度の使い勝手がよくなる!!

FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の中村宏です。

2024年の贈与から、相続時精算課税制度の使い勝手がよくなります。

まずは、この制度の現在の概要をおさらいしましょう。

18歳以上の子供や孫などの直系卑属(実の子や孫など)に生前贈与をする場合、通算2,500万円までは贈与税がかからない仕組みです。
しかし、贈与者が死亡するまでに贈与が2,500万円を超えると、超えた金額の20%の贈与税を、受贈者は支払う必要があります。

この制度を活用すると、翌年の2/1~3/15までに、受贈者は贈与税申告をする必要があります。贈与税がかからない場合であっても申告が必要です。
なお、贈与した人が申告をする必要はありません。

そして、贈与者が死亡したとき、生前に贈与した全額を、贈与者の相続財産に加算して相続税の計算をします。

つまり、基本的には、この制度を使って、相続税の節税対策をすることはできません(将来価値が上がる財産を贈与する場合は別)。
また、一度この制度を選択すると、その受贈者に対して、暦年贈与制度を活用することができなくなります。

事例で説明してみましょう。

Aが、ある年(1年目)に、相続時精算制度を使って、子供Bに2,000万円の贈与をします。
非課税枠2,500万円の範囲内ですので贈与税はかかりません。しかし、Bは、2年目の2/1~3/15に贈与税の申告をしなければなりません。いくら贈与を受けたかを税務署に知らせる必要があるのです。

2年目にもAは、Bに600万円贈与をしました。

これでAからBへの通算贈与額は2,600万円になりました。
Bは、3年目に贈与税申告をして、2,600万円-2,500万円=100万円の20%相当額(20万円)の贈与税を支払います。

3年目にまた、AからBは、100万円の贈与をしました。

AからBへの通算贈与額は2,700万円になりました。非課税枠2,500万円を超えていますので、Bはあらためて4年目に贈与税申告をして、贈与を受けた100万円の20%相当額(20万円)の贈与税を支払います。

4年目に、Aが死亡しました。
死亡時のAの財産に対して、生前Bに贈与した2,700万円を加算した金額を相続財産とみなして、相続税の計算をします。

計算の結果、Bが支払うべき相続税が、これまで支払った贈与税20万円より多ければ、差額を納税します。20万円より少なければ差額が還付されます。

現状は、以上のような制度です。

2024年の贈与から変わる点は、以下の通り。

相続時精算制度を最初に活用したあと、1年間で110万円までの贈与が非課税になります。さらに、それは死亡後の相続財産に加算しなくてもよくなります。

つまり、上の例でいうと、3年目のAからBの100万円の贈与は、申告も納税もしなくていいことになります。

そして、4年目にAが死亡したあと、Aの相続財産は、死亡時の財産に生前Bに贈与した2,700万円を加算するのではなく、3年目の贈与100万円を差し引いたつまり2,600万円を加算することになるのです。

年始に、2024年の贈与から暦年贈与の仕組みも変更になるとお話ししましたね。
現在は、生前3年間の暦年贈与した金額が相続財産に加算する仕組みですが、2024年の贈与からは段階的に、生前7年間の暦年贈与額(ただし、生前4~7年の暦年贈与額からは100万円を差し引いた)になるといいました。

相続税対策をするとき、どちらの制度を選択すると効果的か、これまで以上に考える必要がありそうです。

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