FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の中村宏です。
「老後に向けて、いくら準備したらよいでしょう?」という質問がよく寄せられます。
50代の方は、長い間生きてきましたから、生活の水準もだいたい決まっているでしょう。宝くじに当たらない限り、突然ブルジョアな暮らしになるとも思えません。毎月の生活費の固い額はほぼ見積もれるでしょう。
今後のライフプランもだいだい決まっているため、あと何回自動車を買い換えるか、リフォームがあと何回必要かなどもわかるでしょう。
95歳まで生きると仮定して、現在の年齢(たとえば、55歳)から40年あります。
もろもろ含めて、毎月40万円の支出が必要だと考えると、40年分では1億9,200万円になります。
この金額が、支出額の合計ですね。
収入がどうなるか考えてみましょう。
まずは、公的年金。
65歳から一生涯受け取れる公的年金の額は、50歳以上の方は、「ねんきん定期便」で知ることができます。
65~95歳までの30年間で、たとえば、9,000万円受け取れることがわかったとしましょう。
次は、勤労収入の手取り額。
55~60歳までは、世帯で700万円×5年=3,500万円。
61~65歳までは、世帯で1,800万円。
定年時の退職金が、2,300万円。
収入の額は、ここまでの累計で1億6,600万円。
支出合計の1億9,200万円から、収入合計の1億6,600万円を差し引くと、差額は、2,600万円。
上の例の場合、不足額2,600万円を準備する必要があり、具体的な実行プランを作成する必要があります。
なお、支出額と収入額について再検討して、支出は、無理しない範囲でもっと削ることができないか、工夫して収入を増やす手立てはないかを考えたいですね。
ちなみに、リタイア後(65歳以降)の支出額を月5万円削減できれば、支出額は1,800万円少なくなります。
リタイア後(65歳以降)も無理しない程度で働いて、たとえば1年間に世帯の手取り収入100万円を確保できれば、5年で500万円の収入額を増やすことができます。
ここでは精緻に見積もる必要はありません。
ざっくりと把握できればよいと思います。
それだけでも、今後の暮らし方の方向性が見えてくるでしょう。