FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の中村宏です。
1月20日に、厚生労働省から、2023年度の公的年金額が発表されました。
67歳以下の夫婦2人のモデル世帯の場合、以下の通りです。
国民年金 月額66,250円(前年度より+1,434円)
厚生年金 月額224,482円(前年より+4889円)
さて、上記試算は、夫は40年間会社員で平均的な収入(賞与を含む月額換算で439,000円)、妻は40年間専業主婦を前提としています。
実際には、こんなモデル夫婦はほとんどいないでしょう。
また、夫の収入は勤続年数や年齢等によって変動があるでしょうし、妻も若い頃は会社員だった方が多いでしょう。
厚生年金:月額224,482円とありますが、その内訳は、夫と妻それぞれの基礎年金(国民年金)月額66,250円と夫の厚生年金91,982円ということになります。
実際の自分の年金額の見込額を知りたい方で、現在50歳以上の人は、誕生月に郵便で届く「ねんきん定期便」を参照してください。
現在の収入が60歳まで続く想定で試算した基礎年金額と厚生年金額が、何歳から受け取れるかが印字されています。
夫婦ともに50歳以上の方は、夫婦の「ねんきん定期便」を合計すると、公的年金額(年額)を知ることができます。
なお、妻が夫より年下の場合、夫が65歳になってから、妻65歳になるまで、毎年約40万円の加給年金を、夫の厚生年金に加えて受け取ることができます。(加給年金は、「ねんきん定期便」に印字されていませんので、自分で加えてください)。
「ねんきん定期便」以外で、自分の公的年金額の見込額を知りたい方は、年齢にかかわらず、「ねんきんネット」で試算することができますので、使ってみてください。
老後の収入の基盤は、一生涯支給される公的年金です。公的年金がいくら支給されるのかを知ることは、セカンドライフを具体的にイメージするのにとても重要です。
さて、2023年度の公的年金は、3年ぶりの増額となっています。
年金額は、直近1年間の物価変動率と過去3年度分の実質賃金の変動率をもとに、毎年4月に改定することになっています。
昨年(2022年)の物価変動率は+2.5%。
2019年~2022年の賃金変動率は+2.8%。
このことから考えると、67歳以下の公的年金の支給額は、2.8%増になるはずでしたが、実際には、2.2%増にとどまっています。▲0.6%分差し引かれた金額になっているのです。
その理由は、ざっくりいうと、公的年金は、物価が賃金の伸びよりも増額させないマクロ経済スライドという仕組みがあるからです。
つまり、公的年金は「インフレに弱い」のです。
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