FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の中村宏です。
昨日、退職金の税制優遇について話をしました。
退職所得=(支給額-退職所得控除額)÷2 を説明し、
「÷2」マジックを使えば、ひと財産築くことができるといいました。
2021年度の税制改正で、政府・与党は、退職金の課税制度を見直す方針です。
役員を除く社員が、勤続5年以内に退職金をもらう際、退職所得控除額を大幅に上回る場合は税負担の軽減措置を縮小する見込みです(まだ決定ではありません)。
具体的には、「÷2」をはずすというもの。
勤続5年で退職金の支給額が500万円の場合を考えてみましょう。
勤続5年の退職所得控除額=40万円×5年=200万円
「÷2」を外さない場合は、
退職所得=(500万円-200万円)÷2=150万円
ですが、外すと、
退職所得=500万円-200万円=300万円
となります。
退職所得額が大きくなれば、支払う税金が増えて、手取りが減ります。
なぜ、このような税負担軽減措置の縮小が検討されるのでしょうか?
世の中には悪い会社があり、給与を少なくする一方で、退職金を多くし、会社が支給するトータルの額は変えずに、社員の税金を減らして手取り額を多くするところがあるようです。
会社からみると、給与を少なくすることで会社負担分の社会保険料を節約することができるため、実質的な負担額を減らすことができるのです。
社員の立場からみると、確かに納税額の合計は少なくなり、手取りは増えますが、給与が少なくなることで、社員負担分の社会保険料も減ります。厚生年金保険料が減ることは、老後の公的年金が減ることに繋がります。
いずれにしても、退職金を使った節税策の抜け穴防ぎが行われるかどうかが、もうじき決まります。
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