法人・富裕層以外への資産運用の人的営業は、やめてほしい!

FPオフィス ワーク・ワークス ファイナンシャルプランナー(CFP)の中村宏です。

昨年末、投資経験や商品知識がない親戚が、大手証券会社からラップ口座を勧められ、個人向け国債の解約提案を受けて、1,000万円近くをラップ口座
に投資してしまいました。
本人は、ラップ口座がどんなものなのかを説明できませんでした。勧められたときに、ちゃんと聞いたはずなのに、まったく理解していませんでした。

本人の同意を得て、証券会社の担当者と連絡をとり、全額即刻解約することになりました。
担当者の上司も含め、4人で会って、解約の手続きをしました。

ラップ口座とは、近年、証券会社が取り扱いをしている商品です。
顧客への投資信託の回転売買による販売手数料の荒稼ぎを金融庁に問題視されたのを受けて、証券会社はラップ口座の販売に力を入れています。
顧客は証券会社にまとまったお金を預けます。証券会社は、顧客の要望やリスク許容度を判断しながら、そのお金で投資信託に分散投資をします。

ラップ口座そのものの解約・購入を顧客に繰り返させないので、回転売買が問題視されることはないものの、コストはバカ高いです。運用資産額に対
して、年率3%程度にもなります。
つまり、3%以上の運用益を確保しなければ、顧客の収益にはならない仕組みなのです。

もちろん、営業時に、ちゃんと顧客は説明を受け、署名もします。
しかし、商品は複雑で、言葉も専門的。聞いた話が右から左に流れていき、本人は理解できていないのす。
いずれ、ラップ口座もクレームが多くなり、金融庁が問題視するのではないかと思います。

先日、日経新聞に次のような記事が載っていました。
「仕組み債」と呼ばれる複雑な金融商品の販売を巡り、日本証券業協会が新たな自主ルールを設ける。一見、利回りが高くても市場の急変で資産が大き
く目減りするリスクがあり、損失を被った個人から苦情が続出している。今後の販売には投資経験や保有資産全体の余裕度合いなど条件を満たすよう求
める。顧客を理解した販売姿勢や情報開示が徹底できなければ、自己責任による投資は成り立たず、金融業界として投資家保護に一段とかじをきる」

「仕組み債」を販売しているのは、証券会社、大手銀行、地方銀行などです。

先日、次のような相談がありました。
「無料のFP相談をしてみたのですが、ライフプランを渡されて外貨国債系の保険商品を勧められただけでした。資産をどのように運用するのがよいのかが判断がつかず、現実的なライフプラン踏まえた資産運用について相談したいです」

この方が相談したのは、FPを看板にした生命保険の販売代理店です。

金融機関の営業担当者等が、資産運用の営業をするとき、このようなことが頻繁に起きています。
「顧客の財産形成」に貢献するよりも、「自社の儲け」を優先しているとしか言えません。

「貯蓄から投資へ」の流れに逆行します。
投資家の裾野を広げているつもりで、逆に投資離れを招いています。

百害あって、利がまったくないとはいいません。しかし、利は一くらいではないでしょうか?

金融機関の資産運用の人的な営業は、法人と富裕層に限定して行ってほしいと思います。一般ピープルへの営業は、害が多すぎるのでやめてほしいものです。

現場の営業担当の方も、誇りを持って仕事ができている方は少ないのではないですか?

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